Nabeshi photo blog

日常写真の備忘録です。どうぞよしなに。

【撮影記】札沼線

f:id:nabeshi_photo:20210124230830j:plain

2020年4月17日、札沼線北海道医療大学新十津川駅間の運行が終了した。私が北海道に来てから4回ほどこの線区を利用したことがあり、2018〜2019年に撮影した写真を以下にまとめる。なお、撮影日や機材はバラバラの掲載になることをご了承いただきたい。

 

 

f:id:nabeshi_photo:20210124232342j:plain

札幌6:58発の電車。これに乗車しなければいけない理由がある。

札沼線の終点である新十津川駅へ向かう列車は1日1本。石狩当別駅を朝の7:38に出発するこの列車が新十津川行き始発列車でもあり、最終列車でもある。そのため、札幌から向かう場合は朝の7時前に出発する電車に乗らなければこの最終列車に間に合わない。

 

f:id:nabeshi_photo:20210124235002j:plain

札沼線の名称は、「札」幌と、石狩「沼」田から一文字ずつ取ったものであるが、新十津川ー石狩沼田間が廃止されたのち、札幌ー北海道医療大学区間の沿線事情にそぐわないことから、公募で「学園都市線」という愛称が付けられた。今こそ学園都市線の名たる路線にはなってしまったが、新十津川までの区間はむしろ「札沼線」の名称がピッタリ合う。

f:id:nabeshi_photo:20210124233049p:plain

車内の様子

札沼線はほとんど日常利用の乗客がおらず、この時も車内はほぼ満席ではあったが、観光目的の乗客しかいなかった。この地域は石狩川を挟んで対岸の岩見沢美唄、砂川や滝川との結びつきが強く、少し車で移動すれば利便性の高い函館本線が走っている。そうした状況も相まって、鉄道としてこの区間を残すことは難しいという判断になった。
 

f:id:nabeshi_photo:20210124231706j:plain

石狩月形駅で対向列車待ちの新十津川行き

新十津川へ向かう途中、石狩月形駅では行き違いの列車との待ち合わせがあり、約20分ほどの待機時間が生じる。この間、車内に居てもよし、外の空気を吸うもよし。改札機は無いため、駅舎の外を見学したりとしていると案外一瞬で時は過ぎる。

 

f:id:nabeshi_photo:20210124233221j:plain

f:id:nabeshi_photo:20210124233411j:plain

f:id:nabeshi_photo:20210124233424j:plain

8:40発の新十津川行きが正真正銘の最終列車

f:id:nabeshi_photo:20210124233604j:plain

そうこうしているうちに対向列車がやってくる

遥か向こうから1両の気動車がやってくる。さすがは北海道。遮るものが何も無いので列車のジョイント音が向こうのほうから聞こえてくる。ローカル線の風情を存分に味わうことができた。

f:id:nabeshi_photo:20210124234117j:plain

この日は浦臼駅で下車

 浦臼駅で下車した客は自分だけ。改札は無いので車内で運賃箱に切符とお金を入れる。駅のホームから新十津川へ向かう列車を見送る。結局、浦臼より先の区間へは1回も行けずじまいで廃線になってしまった。とても後悔している。

 

f:id:nabeshi_photo:20210124234725j:plain

線路の歪みと錆

どこまでも続くような一直線の線路。しかしよくみると錆や歪みが目立つ。鉄道維持の難しさが垣間見える。

f:id:nabeshi_photo:20210125000022j:plain

残雪の残る樺戸連山

札沼線沿線からは、樺戸連山を遠くに望むことができ、眺望の非常に良い区間を走行する。また浦臼鶴沼間にある浦臼神社は、エゾエンゴサクカタクリの自生地として有名。ゴールデンウィークの時期は多数のカメラマンがエゾリスと花畑の写真を撮影しにやってくる。

f:id:nabeshi_photo:20210125000317j:plain

この日の新十津川発終電を見送る

浦臼神社の麓では札沼線の線路が通る。遮断機のない踏切をゆっくり列車は通過してこの日の営業運転は終わる。次の日の朝までこの区間は列車が走らない。

 

f:id:nabeshi_photo:20210125001104j:plain

札比内駅から風景

 また別の日に撮影したもの。これまでの写真は浦臼駅近辺のものだったが、この日は札比内駅に立ち寄っていた。上空には鳥の群れが。清々しいほどの快晴である。

 

f:id:nabeshi_photo:20210125001247j:plain

多客期には2両に増結になることも

新十津川から来た列車。手前の車両は現在でも函館付近で活躍しているという。奥の車両は札沼線用に高出力化改造などが施されており、ドア部分が萌黄色に塗装されていることが特徴。この車両はキハ40 400番台という区別であり、計2両存在するが、廃線後は運用から外れ、苗穂でずっと留置されているとのこと。

 

f:id:nabeshi_photo:20210125001511j:plain

f:id:nabeshi_photo:20210125001524j:plain

f:id:nabeshi_photo:20210125001544j:plain

窓からの風がとても心地よい季節

非冷房のキハ40は、初夏の涼しい匂いを車内に取り込みながら、エンジンを唸らせゆっくりと走る。鉄道が廃止になったのちは、すぐ隣を走る国道275号線を走るバスがこの地域の交通を担うことになる。この車窓はもう二度と見ることは出来ない。

 

f:id:nabeshi_photo:20210125001912j:plain

 

この線路を走る列車はもういない。