Nabeshi photo blog

日常写真の備忘録です。どうぞよしなに。

【撮影記】京都駅

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「古都京都と巨大建築との共存」

 

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f2.2 1/2500s ISO100

京都中心部に位置する京都駅。新幹線やJR、近鉄など様々な交通が集まる要所でもあり、駅前には京都タワーなど観光地も豊富。京都近辺には空港がないため、新幹線や関西空港から旅行に訪れた観光客がまず初めに降り立つ地としては京都駅が多いのかもしれない。しかし、京都駅近辺には他の京都の観光地にはあまり無い、大きな特徴がある。それは建築が近代的で「古都らしさ」とは全く縁が無いように感じるところだ。 

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f4 1/40s ISO100

古都らしさが微塵も感じられない大きな理由がおそらくこの「京都駅ビル」だと思う。建築家「原広司」の設計で1997年に開業したこの駅舎は、何千枚ものガラスが用いられている。他にも梅田のスカイビルや札幌ドームなども同じ建築家が手がけており、言われてみればテイストなど共通点があるようにも感じる。
 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f1.2 1/2000s ISO100

ただの近代的な駅舎と言ってしまえばそれまでだが、空中径路や大階段など、巡ってみると非常に面白い場所がたくさんある。

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f1.2 1/125 ISO100

見所の一つ、空中径路へは長いエスカレーターで昇る。ここへたどり着くには駅ビルの東端近くまで行く必要がある。コロナの影響があるとはいえ、普段もあまり人通りは多くなく、意外と知られていない場所なのかもしれない。

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f1.2 1/40s ISO100

本当にここは京都なのかと疑ってしまうほどの景色が広がる。無機質に並ぶ鉄骨群。この日はライトアップも行われ、近未来感がさらに助長される。古都らしさは微塵も感じられない。空中径路は京都駅の上層部に位置するため、鉄骨の隙間から下を覗くと改札階の景色を眺めることができる。高さはかなり。

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f1.2 1/250 ISO100

まるで迷路のような建物内を歩き回ってみると、時折京都の市街地が眺められるスペースがある。ここに「古都京都と巨大建築の共存」のヒントがある。駅ビルの中にはところどころこのような空間が存在し、駅ビルの北側と南側を遮断しないような設計が施されている。条坊制によって整備された南北方向へ伸びる道路からの視線を遮らず、駅ビルの圧迫感を和らげる効果があるとのこと。また、ガラス張りの側面も同様、京都の町並みを反射させ、巨大建築の存在感を打ち消している。

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f1.8 1/40s ISO100

ここは京都市街地を一望できる数少ない場所でもある。景観条例の規制に伴い、多くの場所では高さ31mよりも高い建物は建築できないことになっている。京都御所はじめ多くの寺社仏閣を上から見下ろすなんてことは御法度、ということもあるだろうが、おそらくは古くからの町並みが残る京都の風景との調和という意味合いが強いのであろう。実際、一部の地域を除いて高い建物はほとんど存在しない。その例外の代表例がこの京都駅ビル京都タワーだ。

 

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α7Ⅲ + SIGMA35mm f1.2 DG DN Art / f4 1/40s ISO100

古都らしさを感じないが故に、観光客の評判もイマイチという話をチラッと聞くこともあるが、言ってしまえば京都駅以外の場所なら京都らしいと言えるのかといえばそうでは無いかもしれない。寺社仏閣のすぐ近くまで雑居ビルが立ち並ぶ景観を見て、ガッカリする人もいるだろう。だからこそ、「現代京都のシンボル」として、京都駅ビルは非常に魅力的だと私は思う。