【撮影記】大分県 国東半島をめぐる(前編)
大分県の北東部に位置する「国東半島」中心部に「両子山」がそびえる。それぞれ読み方は「くにさきはんとう」「ふたごやま」。意外と難読である。
今回はこの国東半島をウロウロしたときの記録。ちなみに旅行でもなんでもなく、先祖代々この地にゆかりがあるのでそういった所用がてらの時のお話。
着いた頃にはもう夕刻。そりゃ北海道から移動すればそうなる。ここは日本夕陽百選にも選ばれた真玉海岸からの眺め。ここは干潟が有名で、干潮と日の入りが重なった時間帯が最も見応えのある景色。ここに訪れたのはこれで数回目。今回は残念ながら満潮気味で生憎干潟との共演は見られなかった。自然には逆らえない。
ぜひ旅行の計画を立てる際は、干潮時刻も気にしてみてほしい。
太陽は厚い雲の向こうへと去っていった。ちなみにこの方角には中津市や豊前市があり、海に沈むタイプの夕日ではない。
翌日
晩夏の緑に包まれて、堂々とそびえ立つ異世界の入り口。
ここは熊野磨崖仏へと続く参道。磨崖仏とは、自然の岩や崖を掘って作る仏像。もう少しちゃんとした説明は他所に任せたい。
全国の磨崖仏の約7割は大分県に存在するという。磨崖仏巡りも悪くなさそう。
どこまでも続く階段。階段というよりただ石を積んだだけに近い。
実はこれ、なかなかに過酷である。参拝受付所で木の棒を貸し出してくれるが、それがないとそこそこに辛い。そこで見た「階段は奥に進むにつれてとても急になります」みたいな貼り紙。写真の位置はまだその「入り口」に過ぎない。これから先どのような苦難が待ち構えているのか。
鬼が一夜にして積み上げたという伝説が残るこの石段。磨崖仏もそう簡単には見させないとのことなのだろう。約1300年前に造立したと言われているが、当時の人々は階段もなかっただろうこの地を歩き、二体の磨崖仏を彫ったのだ。
磨崖仏とのご対面。左側は不動明王二童子像。思ったより柔和な表情をしている。一方右側は大日如来像(如来形像)。右側の方が作成年代は古いと言われている。
誰が積み上げたのかもわからない石。さすがに鬼ではないことはさっきの階段とのスケールの違いから明らかではある。 しかしこうした積石にも知らないだけできっと意味がある。
「さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」
石に対する信仰は非常に奥が深い。
続く